高次脳機能障害が疑われたら

　自賠責保険による後遺障害の対象となる高次脳機能障害は，交通事故によって，脳外傷（脳損傷）を負い，意識障害が一定期間継続した被害者について，認知障害，行動障害，人格障害が認められ，仕事や日常生活に支障をきたす障害をいいます。

　脳外傷による高次脳機能障害が残存した場合，自賠責保険に対して後遺障害の申請をし，後遺障害等級が認定されると，一定の保険金が支払われます。
　脳外傷による高次脳機能障害は，障害の程度に応じて次の６段階の等級に該当する可能性があり，等級ごとに保険金額を上限として保険金が支払われます。

・１級１号：神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し，常に介護を要するもの

   保険金額　4,000万円

 

・２級１号：神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し，随時介護を要するもの

    保険金額　3,000万円

 

・３級３号：神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し，終身労務に服することができないもの    　保険金額　3,000万円

・５級２号：神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し，特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの    

　保険金額　1,574万円

 

・７級４号：神経系統の機能又は精神に障害を残し，軽易な労務以外の労務に服することができないもの    

　保険金額　1,051万円

 

・９級１０号：神経系統の機能又は精神に障害を残し，服することができる労務が相当な程度に制限されるもの  

　保険金額　616万円

　上記の保険金額は，後遺障害による損害として逸失利益と慰謝料を合計した金額です。
　弁護士が被害者の代理人として，加害者（加害者が加入する任意保険会社）に対して損害賠償請求をする場合，弁護士は，裁判実務に従って，後遺症が残ったことによる損害額を請求します。
　裁判実務では，後遺症慰謝料は，後遺障害等級ごとに次の金額を目安として，症状の程度や生活状況等を考慮して判断されます。
・１級１号：2,800万円
・２級１号：2,370円
・３級３号：1,990万円
・５級２号：1,400万円
・７級４号：1,000万円
・９級１０号：690万円

　高次脳機能障害となった場合，逸失利益，慰謝料はもちろんのこと，将来介護費，家屋改造費等，損害項目が多岐にわたる可能性があります。
　また，後遺障害等級に応じて賠償額が大きく変わりますから，障害の程度に妥当する適切な等級が認定されなければなりません。
　弁護士法人心東京駅法律事務所は，交通事故に強い弁護士が多数所属しています。
　高次脳機能障害による後遺障害が認定された場合はもちろんのこと，高次脳機能障害が疑われる場合，これから後遺障害申請をする場合は，どうぞお気軽にご相談ください。